2004 年 3 巻 1 号 p. 23-26
治安情勢が悪化するなか、安全に安心して買物ができる環境を目指し、防犯対策を講じる商店街が見られる。なかでも、犯罪の目撃及び抑止を狙った防犯カメラ設置事例が急増している。本研究では、商店主及び来街者に対するアンケートから、商店街における防犯カメラのあり方について考察を加えた。プライバシー保護の観点から、モニター監視や録画画像の閲覧を原則禁止する商店街が多いが、アンケート結果からは、安全・安心を優先した基準を求める来街者が、商業者の考える以上に多いという結果が得られた。各設置主体は、目的と運用方法を明確にしたうえで防犯カメラ設置を検討すべきであり、国や自治体には、プライバシーと防犯に関する世論を把握し、設置主体が拠り所とできる指針をつくることが求められている。