本報告は2024年に開催された、世田谷の50年にわたるまちづくりの蓄積を展示した展覧会「世田谷のまちと暮らしのチカラーまちづくりの歩み50年」の展示方法を報告し、「まちづくりを展示すること」の意味を考察する。展覧会は5部構成をとり、1部と2部では観客の座標をつくり、まちづくりとの距離感を形成する、3部以降は観客が自己を投影しやすいように、行政主導、住民参加、住民主導という主体別の構成とするという方法をとった。50年間で複雑化したまちづくりの蓄積と広がりを体系的に整理し、多くの住民がまちづくりに新たに関わる手がかりを示す方法である。この方法は大都市郊外の都市において発達したまちづくりを展示する方法であるが、都市の自治の歴史を展示する普遍的な方法であるとも考えられる。